本の紹介
「ホスピス(末期医療の思想と方法)」―Kenneth P. Cohen著,斎藤武・柏木哲夫訳
荻島 秀男
1
1わらび診療所リハビリテーションベインクリニック
pp.472
発行日 1982年7月15日
Published Date 1982/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518102665
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英語圏社会では“die”(死ぬ)という言葉を文章では使っても直接会話ではあまり用いない.“depart”(立ち去る)とかexpire(期限が切れる)などの表現を使用するが我国でも黄泉の客となるとか黄泉路につくなど間接的な表現があり,死は自然の摂理であるにもかかわらず話題にしない暗黙の了解がなされている.おのおのの国で死に際する処置,葬儀,埋葬の習慣が異なるがこれは文化的,宗教的背景が大きく,欧米の文化は宗教を抜きにしては成立しない.回教や仏教国においても死というものに対する考えまたは死後の世界という事に対する考えはおのおのユニークである.
神の守護を得るために人身御供を献じたり,我国で第二次大戦中に特攻隊のような自己犠牲が名誉という名のもとに合理化された例もある.古代マヤ人は自殺で天国に行けると信じていたし,神に喜こんで心臓を提供した場面が遺跡などで確認出来る.
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