特集 上肢切断
紹介/足で運転できる自動車
中村 雄
1
1国立身体障害者リハビリテーションセンター
pp.940-941
発行日 1981年11月15日
Published Date 1981/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518102518
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英国では,サリドマイド児が18歳の運転免許適齢に達する3年前の1974年からロードリサーチラボラトリーにおいて,片足だけでも運転できる装置の研究試作に着手した.そのスタッフは電子工学と機械工学の専門家で編成され,1977年―サリドマイド児が18歳に達したとき―完成されていたのである.私はその年の6月彼地において実際に試乗してみたのであるが,約10cmのレバーを前方に傾ければアクセルが作動し,手前に傾けるとブレーキがかかる.また右に倒すとハンドルが右にまわり,左に倒すと左にまわる.しかもその操作に必要な力は,上下肢のどこかの指1本で可能なのである(図1).この装置は四肢を全く欠いた人の場合はレバーを口で操作することも可能である.またこの装置の電気系統に故障を生じたときはすぐ予備の第2装置につながる.さらにこの第2装置が故障したときのための第3装置までついている.現在英国ではこの装置によって運転免許を取得した人達が町を走っている.
この装置は,まだ日本には輸入されてはいないし,その研究開発に全く着手されていない現状にある.
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