とびら
ゴールからのスタート
佐藤 順市
1
1公立横手病院
pp.825
発行日 1979年12月15日
Published Date 1979/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518102045
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午後4時,ガランとした人気のない体育館に似たリハビリテーションの訓練室は,何か物悲しくも闘いすんで観衆の引き上げて行った球場にポツンと一人佇んでいる黄昏時,そんな趣を感じさせる.半ば放心した状態で煙草の煙を吹き上げる.今年もいろんなドラマが展開されたが,私自身みるべき成長のないまま'70年代は終りを告げようとしている.私の心の中に激しい大きなエネルギーを抱いている事を自覚しながらもそれをどこへ向けて的確に爆発させたらいいのか理解していなかった.理想と現実この板ばさみの中で抑圧とそこからの脱出の際限のない反復.やみくもに体当りしては切傷や打撲傷を作っていた時期と考えられる.リハビリテーションという新しい波がおこった時,その波にぶつかってくる大きな波がありその冷たさや痛さを充分知った.
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