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はじめに
比較的最近まで筋力,耐容力の増大を意図する訓練として,等張性運動訓練isotonic exerciseまたは等尺性運動訓練isometric exerciseをわれわれも用いてきた.しかし1965年ころより等運動性訓練isokinetic exerciseの概念が導入されるようになってきた.この概念はPerrineの開発した機器をニューヨーク大学リハビリテーション医学研究所(Rusk Institute)のLowmanらが,臨床研究に用い始めたことと相伴なって次第にリハビリテーションの分野に普及してきたように思われる.ここでisokinetic exerciseとその機器について簡単にふれてみたいと思う.isokinetic exerciseとは筋収縮速度を関節の全可動域をとおして一定にたもちかつあらかじめ定められた種々の速度で目的とする筋に全可動域をとおして最大負荷をあたえ,筋力,耐容力の増大を図る訓練である.筋収縮速度はCybex machineでは角速度,あるいは回転速度として制御され得るようになっており,角速度では0~210°/sec回転速度では0~35rpmの範囲に訓練の目的に合せて,まえもってセットすることが可能になっている.また筋力,耐容力の増大を目的とした訓練ばかりではなく,Cybex machineでの応用訓練としてはforce control accuracy exercise(一定の時間内に任意のある定められた筋力を正確に発生させる能力を高める訓練)をも可能にしていると思われる.すなわち患者は自分の筋力(foot-lbsに換算されたもの)を機器のケージ,あるいはペン,レコーダーで記録されつつあるグラフよりただちに知ることが可能であるのでvisual perceptionよりのfeed backを利用しながら神経筋系の再統合に有益な訓練が出来ると思われる.さらにCybex machineは測定機器としても有用性がある.すなわち患者のある筋群の筋力はトルクカーブtorque curve(腕長×筋力)(図1)としてグラフに記録し得るようになっている.また基線とtorque curveで囲まれた部分はある筋群の仕事量work per unit of timeとして評価しえるであろう.それにtorque curveからtime-rate of force development(ある一定の筋力を発生させるための所有時間)inhibition time of reciprocal movement(拮抗筋の抑制に要する時間)の評価が可能である.
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