The Japanese Journal of Physical Therapy and Occupational Therapy
Volume 9, Issue 9
(September 1975)
Japanese
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はじめに
精神分裂病のリハビリテーションを考える時,それはそれは長い経過を費す.3年,5年,20年以上の経過も稀でない.そのあげく完全治癒されるかと思うとそうでもなさそうである.例えば狭義の病状が長くつきまとって,高年齢になってやっと社会復帰の準備にとりかかるといったケースから,再発を何度も繰り返し,病状が安定した時点で社会生活を送ってはいるが,入退院を何回もくり返すケースから,入院治療を要する程でもなく,家族が家でめんどうをみているが,本人は社会に出て何かをするといった意欲のないまま,親が生きていれば,親が死ぬ迄と家の中にとじこもっているケース等々,さまざまな広義狭義の症状,問題点をかかえて長年月を本本人,家族共々,苦闘しているのが現状である.一休,精神分裂病とは何んなのか? 原因すら不明と言われている現代の精神医療界では,必然的に精神分裂病というレッテルを貼られた時点から,長期経過をまぬがれない現状を覚悟せねばならない.実際本人・家族にとって大変な病気である.
ここに紹介するケースは,疹断名―精神分裂病で入院経験1回,発病後3年足らずという比較的病状の新鮮な24歳の女性である.
昭和47年の春頃より発病し,都下の某精神病院に約7カ月入院,直後リハビリテーションセンターのディ・ケァ部門を9カ月利用し,アルバイト,就職・アパート生活等を経験しながら,現在も尚アフターケアとしてかかわりあっているケースである.3号に渡って紹介することになっている為,今回は,第1号として,本人が当センターを利用するに当り,本人の生活特徴・病状から,家族の協力体制,態度とセンターでのプログラム参加状況等を紹介する.
当センターに最初に関りあいをもったのは昭和48年7月23日,父親からの電話相談である.その内容は次のようである.
「退院はいつしても良いと言われている.今後どのようにしたらよいか,相談したい.最初の入院でわからないことばかりなので,本人をどう扱っていいのか…….働いていいのかどうか? 本人は現在1週間交替で家と病院の生活を送っている.」
で,“もう少し詳しく伺いましょう”と面接予約をとり,本人,両親共に来所されたのが昭和48年7月26日である.Rehabilitation of Schizophrenic(pait1)
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