Japanese
English
研究と報告
精神分裂病の1症例にみられた幻視について
On the Symptomatic Features of Visual Hallucination in a Schizophrenic Patient
村木 彰
1,2
,
三好 直基
3
,
笠原 敏彦
1,2
Akira Muraki
1,2
,
Naoki Miyoshi
3
,
Toshihiko Kasahara
1,2
1北海道大学医学部精神医学教室
2現所属:市立旭川病院精神神経科
3市立釧路総合病院精神神経科
1Department of Psychiatry and Neurology, Hokkaido University School of Medicine
3Department of Psychiatry and Neurology, Kushiro Municipal Hospital
キーワード:
Visual hallucination
,
Schizophrenia
,
Symptomatic features
Keyword:
Visual hallucination
,
Schizophrenia
,
Symptomatic features
pp.1067-1071
発行日 1987年10月15日
Published Date 1987/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405204401
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抄録 幻視を主症状とする精神分裂病の1症例について検討を加えた。精神分裂病の幻視症状は,これまで主に客観的な外部空間に出現するものに限定して論じられる傾向にあったが,本症例の幻視は,「頭の中」という内部空間に定位すると同時に,患者が「映画やテレビを見ているのと同じようにはっきりみえる」と述べるほどの非常に強い明瞭性と実体性を有し,患者の精神内界に圧倒的支配性を示した。また,本症例では,幻視とそれに対応した幻聴が同時に出現するという両者の密接な関連が認められた。これらのことは,分裂病の幻覚を論ずる上で,幻視もまた幻聴と同様に臨床的に重視すべき症状であり,中には外部空間のみならず内部空間に定位される場合もありうることを示していると考えた。
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