オドロ木

　戦後の高度成長主義は奇跡的な経済の急発展をもたらし，我々の平均寿命も50代より70代と伸び結構づくめのようだが，その半面には容易ならぬ心身的隋落が広がりつつある．特に憂慮すべきはご承知のごとき公害（交通工業）で障害をうけ悲惨な日々を送っている人々，成人病で床に伏し灰色の生活を心なく過ごしている人々の数字が年ごとに増加している傾向にあることである．

　その対策として医師の増員をはかるため，本年度より医学部（私大）の増設が認可されたことだが，‘1000万円表口入学’というよからぬうわさが流れ，驚きと不安を与えているようだ，1口に‘1000万円’というが，サラリーマンにとっては30年永年勤続しても，とうていそのような退職金はいただけぬし，また老後のことを考え保険加入してみても払い切れる数字ではない．