特集 めまい—問診から治療まで
III.診断
めまいの診断—検査とその進め方
関谷 透
1
,
松尾 隆晶
1
1山口大学医学部耳鼻咽喉科教室
pp.731-736
発行日 1986年10月20日
Published Date 1986/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492210190
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I.はじめに
前項においてめまいの臨床の現状と展望,さらにめまい症と関連の深い諸器官の解剖と生理が述べられた。それらの基礎知識を体しつつめまいの診断に入る。多忙な臨床の中でめまい症の一応の診断をつけ治療を進めるためには,一つの目標をもって問診,検査を進めることが必要である。一方患者,検者の負担を考え,多数の検査法の中から選択して検査を施行し,診断のための有用かつ効率的項目を得ることを目指さなければならない,その選択のための基本的目標は①めまい,平衡障害の訴えを他覚的にとらえること,②障害部位の探索(病巣局在診断)と計量(障害程度の推定),そして③原因についての診断(原因診断)であろう。
そしてその目標に達するためには,身体的,感覚的にも広義の体平衡を,静的・動的状態下で維持するうえで関連深い器官,臓器を,解剖学的,生理学的にもよく知っておくことが必要である(図1)。
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