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緒言
突発性難聴は厚生省研究班の診断基準によれば①突然に難聴が発生すること,②難聴の性質は高度の感音難聴である,③難聴の原因が不明であることを主症状とする。これが一つの疾患であるのか原因を異にしたいくつかの疾患の集まりなのかははっきりわかってはいない。有力な仮説にウイルス感染,内耳の血流障害,内耳膜破裂などが原因として考えられてはいるが,どのひとつをとってもそれのみですべての突発性難聴を説明することは不可能である。突発性難聴の剖検報告はその臨床報告に比し著しく少ない。これは突発性難聴それ自体が致命的疾患ではないことに起因する。また突発性難聴発症時と剖検までの時間的ズレ,死亡と剖検の間の時間的ズレなどが異常所見が真に突発性難聴に起因するものかどうかの解釈をより困難にしていると考えられる。
今回私どもはこれまでに報告された突発性難聴症例の病理組織学的所見より原因推察について若干の文献的考察を試みたので,ここに報告し諸賢の御批判を仰ぐ次第である。
Previous reports on the histopathology in sudden deafness are very few.
In order to elucidate the cause (s) of sudden deafness from the point of histopathology, we compared the histopathological findings in sudden deafness with those of well-known viral infections and vascular embarrassments in the inner ear.
Viral infection seems to be the most probable cause, especially in the irreversible case of sudden deafness.
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