特集 扁桃—今日の臨床指針
IV.他科領域と扁桃炎
リウマチ熱と扁桃
大国 真彦
1
1日本大学医学部小児科学教室
pp.827-829
発行日 1985年10月20日
Published Date 1985/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492210034
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はじめに
リウマチ熱はその過半数に心炎を伴い,その後遺症として心臓弁膜症を遺すので怖れられている疾患である。本症は6〜15歳の小児に発症しやすくそのピークは10歳とされており,この年齢は扁桃が比較的に大きい年齢層に一致する。
リウマチ熱の発症にはA群溶連菌感染が先行し,その感染部位としてはアンギナが最も多い。リウマチ熱とか急性糸球体腎炎の発症には免疫学的機序の関与が必要で,通常アンギナ罹患後2〜3週間の潜伏期の後に発病してくることになるその溶連菌の菌株が発赤毒素を産生するときは猩紅熱を発症し,その一部にリウマチ熱または急性糸球体腎炎を発症することもある(図1)。リウマチ熱は種々の菌型で発症しうるが,とくに1,5,19型がヒトの心筋と共通抗原を有するところから重視1)されている。しかしA群溶連菌の多糖体は群特異的でありこれがヒトの心弁膜と共通抗原を有しているので,リウマチ熱はA群溶連菌のどの菌型でも起こりうることになる。しかしStollermanら2)はA群溶連菌に12型など起腎炎型と呼ばれるタイプとリウマチ熱の原因となるタイプの2種類があると考えている。
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