目でみる耳鼻咽喉科
小児中耳アテレクターゼ
桜井 時雄
pp.160-161
発行日 1983年3月20日
Published Date 1983/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492209572
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atelectatic earの鼓膜は菲薄で弛緩し,岬角に向かい強く内陥する所見を呈するので診断は容易である。鼓膜内陥は種々の部位におこり,特に後上部においては砧・鐙関節を明瞭に観察できる。すなわち,鼓膜固有層の病変により透過性を増し,菲薄弛緩は鼓膜内陥の傾向を強め,さらに中耳腔貯留液が加わった場合には中耳腔の疎通は障害され,後上部では隆路から容易に疎通障害をきたす。固有層の変化は線維束の侵襲による。
本症に通気を行うと次の特徴的所見が観察できる。①侵襲され内陥した鼓膜部位にほぼ一致した鼓膜膨隆を呈する。②いったん膨隆した鼓膜は1回ないし数回の嚥下により,再び内陥し元に戻る群と,数分後に内陥し同じ傾向を辿る群とがある。
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