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日本耳鼻咽喉科学会第55回学術講演会印象記5.2.〜5.4.,1954年,東京,神田,共立講堂に於て—素朴な一聽衆の見聞
福田 精
1
1岐阜医科大学耳鼻咽喉科教室
pp.357-359
発行日 1954年7月20日
Published Date 1954/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492201167
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昨年福岡の総会が了り,大藤教授に御別れする時に,今度の総会は追加質問の時間をゆつくりとつて,大いに討論してもらう積りだ,と仰有つたが,全くこの総会はその計画通り遂行され,花々しい討論が各群に於て展開されたのが特色で,全国より集つた聽衆にとつては之れが何よりの收穫であり且つ又御土産であつたと云えよう。平素あの先生から,こう云う点を伺つてみたいと考えていることを,この討論の時間に,そのウンチクを傾けて話し盡してもらい得た場面が少なからず持たれたし,又各群の座長は,次演者を連呼し,且つ只今の御演説に対しまして云々と紋切型の文句を繰り返すロボツトの役ではなく受持つた群に対して,夫々ユニークな見解を述べて,鮮かに締めくくり得る時間を持ち得て,よく従来の学会で経験するあの煩わしい時間切れのブザーに攻め立てられて尻切れトンボに幕を閉じてしまつて,何だか割り切れぬ後味を残すことは只の一度もなかつた点,大藤会長の演出はまさに大当りと云う所。しかも時間は正確に進行していささかのたるみも破綻も窺えず裏面の苦心,内助の橋本助教授並びに教室員各位の心労並々ならぬものがあつたと思われる。一言にしてつくせば,豪放且つ細心の演出と申すべきで,誠に良い総会を持ち得て会長並びに日医大教室員各位に厚く御礼申上たい。
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