Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
I.はじめに
声帯結節,声帯ポリープ,ポリープ様声帯と呼ばれる疾患は,主に喉頭所見によって診断され,発症状況や病態にさまざまな相違が認められるため,臨床上では一般に区別して扱われる。一方,病理組織学的にこれら3疾患を区別し得る本質的な相違があるか否かについては,現在定説がなく,病因論的にもこれらを異なった疾患単位とみなすべきか否かは決定されていない。疾患の本質的な定義が確立されていないために,これらの疾患を区別する基準は,時代によって,また施設によって,必ずしも同一とは言いがたい。
東京大学附属病院耳鼻咽喉科音声外来におけるこれら三疾患の診断の臨床的な基準は,以下のとおりである。声帯結節とは,帽針頭大以下の硬い感じの腫瘤で,無茎であり,声帯膜様部中央付近に好発し,両側性であることが多く,色調は声帯表面と同じである。声帯ポリープとは,大きさは種々であるが,一般に声帯結節よりは大型で,膜様部に発生する限局性の腫瘤である。声帯結節よりも軟らかい感じのするものが多く,有茎,無茎のいずれもあり,色調も多様である。ポリープ様声帯とは,声帯の広い部分にわたる,びまん性,浮腫状の腫脹である1)。このような基準で,これら3疾患を臨床的に区別することは,現在わが国でばかなり一般的に行われていると思われる。2,3)
A statistical study was made on 152 cases of vocalcord nodule (V. C. N.), 221 cases of vocal cord polyp (V. C. P.) and 65 cases of polypoid vocal cord (Polypoid V. C.).
Of the male patients with V. C. N., 95% were under 15 years old, while 26% of the female were under 15. Of the patients with V. C. P., 60% were in the fourth or fifth decade. Of the patients with polypoid V. C., 87% were over 40 years old. The incidence of long standing vocal abuse was relatively high in V. C. N., 71%. The incidence of smoking in the adult patients was significantly high in polypoid V. C.; 92%.
Copyright © 1982, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.