鏡下咡語
スカルパの生首と広島大学医学部医学資料館
原田 康夫
1
1広島大学医学部耳鼻咽喉科
pp.674-675
発行日 1980年9月20日
Published Date 1980/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492209131
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広島大学医学部に医学資料館ができた。1昨年の11月2日に開館式をあげたこの資料館は明治43年より大正4年にかけて兵器廠として建てられ,広大医学部が昭和32年に呉より広島に移転して,校舎として使用していたものの1棟である。本資料館は次々と近代的な建物に変わって行く医学部内に,現在,ただ一つ残った赤レンガである。この赤レンガとスカルパの首とが何の縁があるのかと読者は不思議に思われるであろう。
さて,アントニオ・スカルパ(1747-1832)は,耳鼻科医には正円窓膜を第二鼓膜と名付け,スカルパの前庭神経節として今なおなじまれている。この有名な彼の生首がパビア大学の解剖学博物館にアルコール潰けとして残っている。実は,このスカルパの生首が広島大学医学部の医学資料館を生むきっかけとなったのである。
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