鏡下咡語
いま若者の聴力は
鈴木 篤郎
1
1信州大学医学部耳鼻咽喉科
pp.592-593
発行日 1980年8月20日
Published Date 1980/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492209118
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音楽が騒音源になりうるとは?
「ながら族」などということばも,当今のように誰もがやっているごく当り前の現象になってしまっては,ことばとしての存在意義もなくなったとみえ,あまり使われなくなってしまった。最近は「ウォークマン」という文字通り歩行者専用のステレオ装置が若者の間に流行しているときくが,このように四六時中音楽をきいていないと心の安まらない若者達が増えつつあるようである。
私はクラシック音楽なら若い時分から馴染んでいるが,音楽が有害な騒音源になりうるなどとは考えたこともなかった。ところが,耳鼻科の外国雑誌のコンテンツに,ロック音楽による聴器障害というような標題が,10年ほど前からちょいちょい眼につくようになった。しかし私は,その真偽に首をかしげる程度で,内容を読んでみるほどの気持にはならなかった。もちろん,ロックそのものには,私は全く無知であり,きこうともせず,またきく機会もなかった。
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