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I.緒言
白血病は,小児悪性腫瘍の約半数を占め,その発生率が,世界的傾向として近年急激に増加してきている。本邦においても例外ではなく,1950年には1,226人,1960年2,628人,1970年3,556人が白血病で死亡しており,人口10万に対する死亡率は,それぞれ1.5,2.8,3.4と増加の一途をたどつており,特に急性白血病でこの傾向が著しい1)。診断法の進歩による発見の増大だけでなく,絶対頻度も増加している。したがつて,臨床医が白血病に遭遇する機会も多くなつており,耳鼻咽喉科医もその診断,治療に関係する機会が増してきている。
現在では,白血病は白血球系造血細胞の腫瘍性増殖と解されており,白血病細胞の浸潤はあらゆる臓器にみられる。耳鼻咽喉科領域における白血病細胞の浸潤をきたした症例の報告は従来より少なからずあるが,鼻腔粘膜への白血病細胞の局所浸潤をきたした症例の報告は非常に稀である。今回われわれは,急性骨髄性白血病の経過中に鼻腔粘膜への白血病細胞の局所浸潤をみとめた1例を経験したので,白血病の局所浸潤について若干の考察を加えて報告する。
A 14-year-old girl with leukemic infiltration in the nasal mucosa was reported. A grayish mass with smooth surface was observed in the middle meatus of the left nasal cavity. Biopsy confirmed leukemic infiltration in the mucosa.
Leukemic involvement of the nasal mucosa hasscarcely been reported. Because leukemic infiltration may involve any part of the body, otolaryngologists may have a chance to observe it in the nasal mucosa. Thus, the attention should be paid to detect the leukemic manifestations in the otolaryngologic field.
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