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I.はじめに
私たちは,主として耳管扁桃肥大を原因とする幼小児のいわゆる耳管性難聴の治療法として,咽頭扁桃切除に加えて耳管扁桃後唇の腫脹リンパ組織およびローゼンミュラー窩のリンパ組織の切除を含む1つの手術法を工夫し,前報においてその術式,適応,術後経過および一部の症例についてはアンケートによる遠隔成績について報告した。この報告によれば,実施症例63例中経過不明の6例を除く57例のなかで,術後4週間以内にair-bone gapが10dB以内に回復したものは51例(89.5%)であつた。さらに術後3年目のアンケート調査でも回答者21名中19例(90.5%)は聴力に障害なしと答えている。これらの成績からみると,術後の聴力の改善率はかなり良好で,しかもその状態は術後長期間保持されているようにみえる。しかし,本手術法の術後成績を確実に追跡するためには,術後一定期間経時的に聴力検査を実施してみる必要がある。
本報においては,上述の観点から,術後の聴力変化を追及し,さらに一部症例については切除後の耳管咽頭口周辺の形態上の変化を検索したので,その結果について報告したい。
For treatment of deafness due to the eustachian tube dysfunction among children, a method for removal of tonsillar tissues surrounding the opening of the tube under a direct view was applied in 75 cases.
The postoperative hearing test was performed in 54 ears, and the hearing improvement within 10 dB was obtained in 72% one year after the operation.
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