増刊号 すべて見せます! 患者説明・同意書マニュアル—[特別Web付録]説明書・同意書の実例99点
2 涙道
涙管チューブ挿入術
後藤 聡
1,2,3,4
1聖マリアンナ医科大学
2昭和大学
3東京女子医科大学
4獨協医科大学
pp.36-37
発行日 2020年10月30日
Published Date 2020/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410213730
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手術・治療の概要
涙道閉塞は,涙点から鼻涙管開口部までの涙道のあらゆる部分が閉塞することにより,流涙や眼脂・涙囊炎を引き起こす疾患である。その原因は諸説あるが,詳しくはわかっていない。治療法は外科的治療法しかなく,涙管チューブ挿入術と涙囊鼻腔吻合術(DCR)に大別される。DCRは閉塞部位を迂回して新たな流出経路を作製することを目的とするが,基本的には鼻涙管閉塞に対する治療である。涙管チューブ挿入術は,チューブを閉塞部位に挿入し,癒着を防止することで鼻涙管の閉塞部位を元の状態にすることが目的で,適応範囲は涙道のあらゆる部分である。DCRのほうが侵襲は大きくなるが,再閉塞が少ないとされている。
涙管チューブ挿入術の手術適応は,涙点から鼻涙管開口部のあらゆる涙道閉塞に起因する流涙や涙囊炎である。涙管チューブ挿入術とDCRのどちらを治療法として選択するかは術者によってさまざまである。侵襲の小ささから,涙管チューブ挿入術での治療が可能であれば,そちらを第一選択とすべきである。近年,涙管チューブ挿入術の際に涙道内視鏡を併用することができるようになり,また涙道内視鏡を利用したさまざまな手技も開発されてきたため1,2),従来の盲目的な挿入に比べ手術成績や再現性は向上した。しかし,涙囊炎合併鼻涙管閉塞では,DCRを第一選択にしたほうがよい場合がある3)。
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