鏡下咡語
「耳喉」1巻発行当時の想い出など
仁木 堯
pp.64-65
発行日 1978年1月20日
Published Date 1978/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492208607
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49巻の「耳喉」5号に本誌も来年は50巻になるが,創刊当時の記録が少なく細かいことがわからないとの記事がある。この5月,日耳鼻学会出席のため福岡市に行つた際九大にたちより,耳鼻科教室の同門会誌(四三会誌)の昭和2年号および3年号を調べたが創刊に関する記事を発見できなかつた。この雑誌の表扉の上部に久保猪之吉1928年創刊と印刷されているのは,その前身「月刊雑誌耳鼻咽喉科」(以後,「前期耳喉」と書く)が当時の九大耳鼻科教授久保猪之吉先生(以後,先生と記す)の個人雑誌として生れたことの名残りである。「前期耳喉」は主幹久保猪之吉,編輯兼発行者立木豊,発行所福岡市大名町105番(これは先生の私邸である)と印刷されている。その投稿規定に臨床的報告を歓迎,特に専門科と一般医学との交渉問題を熱望すると謳つてある。そして内容概目は論議,史料,講義,綜説,学会,抄録,紹介,漫録,通信,雑報,人事,附録,質疑にわたつている。発刊のことばのなかで先生は"日本には専門の純月刊雑誌が1つもないから,業績発表の月刊雑誌を新たに専門界に提供したいというのが発刊を思い立つた理由の一つである"と述べている。
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