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I.緒言
Juvenile xanthogranuloma(以下JXGと略す)は,1905年Adamson1)がcongenital xanthoma multiplexとして報告したのに始まる稀な疾患である。その後,1912年にMcDonagh8)が5症例を報告した。彼はこれを血管内皮細胞由来と考えnevoxanthoendotheliomaと命名し,本疾患の独立性を主張した。1954年,Helwigら6)が組織学的に検索し,本疾患は血管内皮細胞由来ではなく,組織球の増殖であり,それに2次的にxanthoma様変化が加わつたものであるとして,JXGと呼ぶことを提唱した。現在,本疾患の独立性はほぼ認められており,一般に,JXGまたはnevoxanthoendotheliomaと呼ばれている。Nomland13)によれば1954年までに約50例,袖山ら7)によれば欧米の報告は1957年までに急に増えて約100例,わが国でも,1962年までに4例18),以後報告が増え,1971年までに約50例11)の報告がある。次に述べるように疾患の性質上,みすごされたり,またxanthomaなど他の疾患と誤られたりしたものが他にもかなりあるのではないかとも思われる。
典型的な例では,6ヵ月未満の乳児の躯幹または顔面に赤色小丘疹が多発し,次第に増大して径約0.5〜1.0cmになり,多彩な色を呈し,ゴム様の硬度を持ち,自覚的な痛みや痒みはみられない。さらに進むと,褪色しはじめ,小さくなる。この全経過は数カ月から数年であるが,年齢の長じたものほど経過は長い。発疹自身はある時期にはまさにxanthoma様外観を呈するのであるが,この疾患ではxanthomaにみられる高脂血症,脂質代謝異常は一般にはみられないとされている。
A case of juvenile xanthogranuloma of the auricle seen in an infant, 7 month old female, is reported. The tumor growth in this case was rapid; malignancy was suspected. The tumor was surgically removed.
Pathological examination revealed a juvenile xanthogranuloma, a benign disease, whose cause is unknown. Our case, however, was not that of typical xanthogranuloma with the finding of hypercholesterolemia, a disorder of the lipid metabolism.
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