舌に転移した中皮腫の1症例

METASTATIC MESOTHELIOMIA OF THE TONGUE, A CASE REPORT

　I．緒言

　胸膜，腹膜，心外膜などの漿膜より発生する中皮腫（Mesothclioma）は，その発生が中皮，すなわち中胚葉に起因するところから耳鼻咽喉科領域で遭遇する事は，きわめて稀であると考えられる。今回，われわれは腹膜に中皮腫が発見されて以来，約2年半の経過の後に舌へ転移をきたした症例を経験した。中皮腫は転移の少ないものといわれ，われわれが調べ得た範囲の文献には，舌へ転移をきたした例はないので，若干の文献的考察を加えて報告する．

A man, aged 65, was found to be suffering from mesothelioma of the peritoneum when he underwent and operation of acute ileus. Thirty months thereafter, the mesothelioma was found to be metastasizing into the tongue.