薬剤
Wegener肉芽腫症に対する免疫抑制剤の適応について
山口 宗彦
1
,
矢島 寿夫
1
,
北村 武
2
,
石川 哮
2
1国立千葉病院耳鼻咽喉科
2千葉大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.347-351
発行日 1974年5月20日
Published Date 1974/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492208067
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I.はじめに
Wegener肉芽腫症(W. Gと略す)は,1939年F. Wegenerが3症例を報告して以来,一つのentityとして確立された疾患である。それは,1)鼻を中心とした上気道,または肺における壊疽性,肉芽腫性病変から始まり,2)全身の壊死性血管炎と,2)糸球体腎炎を伴う致命的な疾患と定義づけられている。病因については,今までに幾多の報告がなされているが,組織アレルギーとしての要素を十分にもち,またリウマチ因子や抗核抗体がしばしば見出されることから,自己免疫疾患の範ちゅうに入れられている。
本症は当然systemic diseaseになつて初めて診断されるが,その初期症状が,ほとんど鼻粘膜を中心とした上気道に現われるため,われわれ耳鼻科医にとつては,本症の初期診断を下すには好都合である。
W. Gは完成型になつてしまえば,いかなる治療法をもつてしても完治させることができず,ただ延命効果が期待できるのみである。したがつてできるだけ初期でとらえ,適切な治療を開始することができれば,完治を期待することも夢ではないと考えている。われわれは,本症の初期症状に対し,単独に免疫抑制剤を使用し好成績を得た症例を経験したので報告する。
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