文献紹介
Wegenerの肉芽腫症
pp.1051
発行日 1963年11月1日
Published Date 1963/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491203637
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Wegener's granulomatosisは肺および上部気道の壊死性肉芽腫性病変,全身性壊死性血管炎,急性糸球体炎を特徴とする疾患である。しかし皮膚の症状が屡々本症の顕著な症状であり,ときとしては初発症状でもある。初期の皮膚症状は通例四肢に対側性に生じ,発疹は丘疹状壊死性か小水疱性であり,稀に蕁麻疹様である。これらは自然に消退するが患者が全身悪化すれば進行する。Pyoderma gangrenosumが本症の初発症状であることが少なからず,ときには末期症状としても現われることがある。本症は結節性動脈周囲炎あるいはアレルギー性肉芽腫性血管炎に典型的な皮下結節を生ずることはない。本症末期には糸球体炎による尿毒症を合併するが,その時皮膚には汎発性発疹性に紫斑性丘疹あるいは小水疱が多発する。また口腔に潰瘍と紫斑の生ずることは本症の診断に有力である。
組織学的には血管の内層にフィブリノイド壊死があり,中層の変化は顕著で筋細胞は破壊され,フィブリノイド壊死を示し,外層の病変は最大で強い破壊と,炎症性浸潤の被包が見られる。血管腔にはしばしば血栓がある。結局,本症の皮膚病変は壊死を続発する血栓を伴なう急性壊死性血管炎(acute necrotizingangiitis)である。
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