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Ⅰ.緒言
突発性難聴は,急激に発症する原因不明の感音性難聴で,その原因に関しては現在まで種々論議されており,内耳循環障害(血管痙攣,血栓,栓塞,出血,sludgeなど),内リンパ圧亢進,Virus感染,アレルギー,中毒,炎症などがあげられているが,内耳循環障害を認容するものが多く,治療面でも内耳血行の障害改善に重点がおかれている。すなわち星状神経節遮断(SBと略す)を中心に内耳血行改善剤(血管拡張剤),ビタミンB群,ATP,Steroid,血球凝集の緩解剤(ヘパリンなど)を併用しているのが現在大部分のKlinikに共通した治療法であるが,Mörl33)らは血管拡張剤を単に経口,筋注,静注で与える場合はborrowing-lending現象でかえつてよくないので動注療法をすすめている。
さて私どもの教室においては血管拡張の意味でもつてSB療法などを行なつてきており,その一部はすでに報告(耳鼻咽喉科,43巻,989-999,1971)53)したが,この施術には十分な熟練士とまた同時にある程度の危険性を内蔵しており,いささか難点があつた。そこで今回私どもは,内耳への血行改善の最終目的たる酸素補給の目的を達成するために,高気圧酸素療法(oxygenation at high pressure,OHPと略す)を主体とした治療を行ない。従来のSB療法に勝るとも劣らぬ成績を得たので,危険性や副作用のきわめて少ない本方法が突発性難聴の治療法として十分普及せしめ得るに足るものとの確信を得たので,ここにその方法ならびに成績を報告し諸家のご批判とこ追試を希望する次第である。
Twenty five cases of spontaneous deafness are treated with hyperbaric oxygen treatment with good results.
1) The treatment room consisting of 150 cu m is raised to 2 or 2.5 atmospheric pressure of oxygen. The patient is placed in this room for the duration of 60 minutes at a time daily for 7 to 15 days.
2) In early cases of deafness no more than 1 week in duration the treatment was highly effective. In other cases where deafness lasted longer than 1 week the results were also satisfactory.
The present treatment is highly effective in treating obstructed ears.
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