Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
Ⅰ.緒言
口腔内悪性腫瘍に対する広範囲切除手術は術後に大きな欠損あるいは著しい瘢痕収縮を残して構音,嚥下,そしゃくなどに支障をきたすことが少なくない。これを防止する目的で,切除手術と同時に有茎皮膚弁を用いて一次的に欠損部を修復する方法がとられ,前額部の有茎皮膚を利用する方法は主として欧米の形成外科領域では広く行なわれている方法である1)-5)。
舌癌を中心とするこの領域の腫瘍は,特殊なもの以外は放射線単独あるいはブレオマィシンなどの抗腫瘍剤の適切な配合によつてほとんどコントロールできるとされ,T3などのかなり進行した症例でも社会復帰できるものが増加していることは事実である6)-9)。しかし,かなり大線量の照射後にもなおactiveな形で残存することも稀ではなく,症例によつては潰瘍を形成したりして治療にてこずることもあり,また治療途上で頸転移が見つかつたりして,必ずしも最初のプランどおりにはゆかないことも多いのである。このような場合には,適宜治療方針を変更してタイミングよく手術にふみきることが肝要で,なにがなんでも最後まで手術せずに頑張りとおすのは決して利巧なやり方ではない。したがつてわれわれ耳鼻科医としては,内照射を含む放射線治療あるいは抗腫瘍剤併用によつてベストをつくしたうえで,いつでも切除手術にふみきれるだけの準備をしておく必要のあることは当然であると考える。その場合には,悪性腫瘍に対する切除手術の原則として治療以前の進展度に基づいて広範囲切除が必要となるために,術後の機能損失は必発で,美容上の問題はある程度いたしかたないとしても,著しい構音障害のために一応根治に成功しても社会復帰できないでいる症例も多いことは誰しも認めるところであろう。
Irradiation failure for any intraoral malignancies should be followed by aggressive surgical procedure which may leave an extensive postoperative defect.
Direct suturing of the defect in the mouth is technically feasible in most cases. However, it is apt to meet disadvantages in recovery of oral functions. Patients most likely complain difficulty of phonation and mastication of foods as the result of fixation of the tongue anchored to the buccal mucosa.
The mucosal defect may be reconstructed by a pedicled skin flap taken from the forehead which will also regain the functions of the oral cavity and the mobility of the tongue.
Although the present technic is not cosmetically perfect, it would enable the patient to phonate and masticate quite well postoperatively.
Copyright © 1972, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.