Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
Ⅰ.耳
フランスのノヂエは耳は全身の受話機で全身の疾病は耳介に反応点を表すといつたが(第1図),これより2千年も前に霊枢に耳は宗脈の集る所なりとあり,このことを岸勤は実験的に証明した。東洋医学で耳は腎の主なる所といつて両者の関係をもつとも強調しているが,肝は血を蔵す,肝虚すれば耳聾すとあり。また精気調和すれば耳よく五音をきくといい,蓄えられたエネルギー(腎)とこれを動かす気(肺,経絡)の重要性をのべている。そしてこれら肝腎肺などとの関係は近代医学によつてもうなづかれる所である。聴力増進物質は松尾巌前京大教授のいう肝機能亢進物質,副腎皮質ホルモン,自律神経調整剤などと密接な関係あることが明らかになつたからである(詳細は日本医事新報2268号参照)。
耳病に対する鍼炎治療のつぼについては間中善雄博士は完骨(胆経),聴宮(小腸経),外関(三焦経),臨泣(胆経)をあげており,聾も治ると宣伝された中共式聾治療のつぼは百会(督脉),耳門(三焦経),聴宮(小腸経),聴会(胆経),瘈脉(三焦経),翳風(三焦経),合谷(大腸経)または中渚(三焦経)の7カ所である。軍司政一氏は感音系難聴に対する良導絡針電気刺激で著効を報告している。経穴刺激による聴力回復の効果について私は耳鼻咽喉科35巻7号に報告し,中共針による経験例は耳鼻臨床61巻11号に発表したが,西洋医学と異なる所は耳の局所治療を全然やらずに針刺激だけで効果をあげていることである。その刺激場所は多くの経絡に関係して,全身(手,足,背など)に分布していることに注目すべきである(第3図参照)。
In the Oriental Herb-Medicine, as gleaned from such authors as Somon and Reisu, any disease in the field of otolaryngology invariably influence the functional capacity of various organs of the whole body.
The treatment, therefore, should be directed towards such bodies by means of acupuncture, moxa cautery and oral administration of extracts by infusing medicinal plants.
Copyright © 1970, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.