特集 耳鼻咽喉科手術の危険度
耳
耳茸
隈上 秀伯
1
1長崎大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.709-710
発行日 1969年10月20日
Published Date 1969/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492207342
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耳鼻咽喉科領域の一般的手術のうちで耳茸摘出によつて起こる危険性は非常に少ないように思う。耳茸摘出に際しての危険性について成書には耳小骨連鎖の離断による聴力障害あるいは脳膜との癒着がある場合の頭蓋内合併症などがあげられている1)。
耳茸摘出は中耳手術のための前段階としてあるいは症例の種々の条件のために保存的治療の一部として排膿をはかるために行なわれ,さらには他の真性腫瘍の鑑別のためになされているが,耳茸切除によつて一時的には分泌も消褪し乾燥することもあるが,数カ月の後には再発をまぬがれないことは,耳茸の茎部が深部の中耳腔に根を有し,しかも多くの例が真珠腫性中耳炎によるためである。
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