特集 形成と機能訓練
形成
鼻副鼻腔悪性腫瘍摘出後の顔面形成
高橋 良
1
,
磯部 房子
1
1東京慈恵会医科大学耳鼻咽喉科教室
pp.1283-1292
発行日 1966年12月20日
Published Date 1966/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492203697
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Ⅰ.緒言
鼻副鼻腔における悪性腫瘍摘出後に,顔面の醜形と機能障碍を残すことは衆知の如くであり,これが原疾患の治癒にも拘らず患者の社会生活復帰への心理的打撃となり,又周囲の者へ醜形による不快感を与えること等から,原病巣の根治手術と相まつて形成手術の重要性が20世紀の初めから注目されて来た。この様に形成手術への関心がたかまつたのは,手術法の進歩によつて悪性腫瘍の摘出による治癒率が向上し,且つ形成外科的手術手技の発達により複雑且つ広汎な欠損性醜形が整復可能になつたことに依る。
私共の教室でも戦後鼻副鼻腔悪性腫瘍に対し,その手術的根治をはかると共に,術後の広範な欠損部への補填,機能の回復,整容の問題を考慮しつつ形成手術を施行し患者の社会生活復帰への促進を計つているが,些かの成果を得つつあるのでその代表例を報告すると共に解説を行ないたいと思う。
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