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西端先生の私に対する批判に答えて—(本誌36巻11号987頁所載の論文に対する返答)
北村 武
1
1千葉大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.843-846
発行日 1965年9月20日
Published Date 1965/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492203480
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西端先生が私の論文を読み,それを批判して下さつたことは後学の私には光栄である。しかし少なからず誤解されておられる点もあり,その弁解をすると共に私の考えをのべさせて頂く。
1)「理想的な鼻腔とは正常の呼吸を行なうに充分な量を適当な時間内に通過させうる空間をもち,呼気は吸気の道を逆流する様な構造をもつておるべきである。従つて中隔は彎曲することなく,各甲介の中隔面は中隔にほぼ平行し,各鼻道は副鼻腔の自己防御のための諸機能遂行のための充分な空間をもつておる必要がある。また嗅裂は嗅覚のために充分開いておらなければならない。」この様な記述を文献1,888頁に行なつており,そのことは高橋先生も認めておられる。これで西端先生の批判に答えておると思う。私が数字をあげたのは鼻腔も程度の違いはあつても変異の多い器官であることを注意したいためであつた。下甲介の附着点距離が近いと下甲介の僅かな肥厚性の病変で鼻閉が起り易いと思う。またそれが遠いと下甲介の僅かな萎縮でも広すぎる鼻腔の症状を呈して来る。しかし多くの症例では遠すぎれば下甲介骨が変曲し,且粘膜の肥厚も起つて空間は適当に狭くなつておる。従つて病的に萎縮しておる場合を除けばLautenschläger法を施行する様なことはない。
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