特集 耳鼻咽喉科におけるショック様症状とその対策
経験例
ショック様状況についての経験例・14—扁摘時におけるショックの1治験例とその対策について
宮部 勳
1
,
杉山 繁
1
1日発病院耳鼻咽喉科
pp.1110-1114
発行日 1963年12月20日
Published Date 1963/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492203178
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はしがき
耳鼻咽喉科領域の手術,とくに扁桃,口蓋破裂,咽後膿瘍などの口腔内手術の際にシヨック様症状を起す頻度が,体の他の部分の手術に比較して甚だ多いように思われる。外界からの刺激をうけた生体は種々の反応によつてそれに対処しようとする。しかしこの過剰刺激が生体の反応力の閾値を越す程,強大である時にシヨック様症状が発現するのではないかと推測される。人間においてはこの過剰反応は極めて急速に反応し,しばしば死の転帰をとることがある。したがつて速かに治療対策に専念して患者を救うことが先決問題であるので,この現象について詳しく検査観察することは容易なことではないのが実状である。先般私は扁桃摘出術のための局所麻酔時に痙攣呼吸麻痺型の典型的と思われるシヨック様症例に直面し,その時の臨床所見と治療概要および二三の臨床検査の推移を調べ得たので簡単に報告する。
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