特集 耳鼻咽喉科におけるショック様症状とその対策
経験例
ショック様状況についての経験例・9
後藤 修二
1
,
松崎 久
1
1名古屋大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.1096-1098
発行日 1963年12月20日
Published Date 1963/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492203173
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1.緒言
近年抗生物質および挿管麻酔の進歩発達は,今日の医療に貢献すること多く,人類はこの両者の恩恵に浴し幾多の尊い生命が救われる様になつた。しかしその反面抗生剤によるアナフィラキシー・ショックや,全身麻酔によるショックなどの問題が新たに加わつて来たが,これらも周到な注意,観察により避けることが可能であるといわれる。耳鼻科領域では全麻はその解剖学的特殊性もあつてやや遅れて利用され始め,最近ではかなり普及されているが,局所麻酔のみで目的を達し得ることから,全麻よりも圧倒的に多く使用されている。
監察医務院の統計によれば手術治療上の不慮死の例数は,耳鼻科は外科に次いで婦人科と並ぶ程であり,そのうち局所麻酔の事故死は他科をしのいでいると報告され,さらに鈴木によれば扁桃手術の際におけるものが事故死の過半数を占めていると述べている。
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