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瘢痕性喉頭狭窄症の1例
内田 一男
1
,
菅原 基夫
1
,
鈴木 政昭
1
1京都府立医科大学耳鼻咽喉科教室
pp.845-849
発行日 1963年10月20日
Published Date 1963/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492203130
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Ⅰ.緒言
喉頭の慢性狭窄は喉頭内腔の閉塞または狭窄をきたす状態で,喉頭の正常機能に著しい影響を与える。特に発声および呼吸にさまざまな障害をきたす。すなわち声は弱く,嗄声となり,また耳障りな雑音を示し,時に完全なる無声となるものもあり,呼吸困難が著明となり下気道へ酸素の供給が防げられると短期間にして生命をうしなうような重篤な症状を示し,敏速な治療を必要とするものである。
その原因として次の如きものが考えられる。先天性のもの,すなわちこれらは鉗子分娩,あるいは中枢神経系,特に頭蓋内出血による生下時の遇発事故で,これらにより両側性の喉頭麻痺をきたし,相当の呼吸困難を生ずることがある。また頭蓋骨の骨折も1つの因子である。また声帯前連合の部分に先天性皮膜形成もしばしばみられ,その症例はThomson1)は23例を報告し,Hodge2)およびClerf3)よりも若干例の追加症例の記載がある。
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