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脊髄癆性喉頭発症症例
佐々木 治夫
1
1信州大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.765-768
発行日 1962年9月20日
Published Date 1962/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492202913
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脊髄癆に特有な各種発症は殆どすべての器官にみられるが,その発現率は低く,特に本邦において少ないといわれている。これら発症の中で比較的多くみられるのは胃発症であり,喉頭発症は相当稀なものである。1868年Fereol1)1879年Charcot2)が脊髄癆性喉頭発症を記載して以来,欧米には文献が散見されるようになつた。しかし近年になつては逆に報告が減少している。本邦における報告は余り多くなく特にわが耳鼻咽喉科領域では私の渉猟し得た中では見出すことが出来ず,耳鼻科医の目に入ることは極めて少ないものと思われる。最近梅毒性疾患は減少しつつあり,それに伴つて本発症も一層稀なものとなつていくことであろう。私は今回,脊髄癆性喉頭発症の1例を経験したのでその大要を報告すると共に若干の文献的考察を加えてみたい。
Laryngeal involvement of spinal caries, which is rather rare in occurrence, in a man, aged 48, was manifested with paroxsymal cough, dyspnea and at times a loss of consciousness. The frequency of attacks, causative factors and symptoms and signs of this trouble are fully discussed.
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