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I.まえがき
Cheney(1940)は動物実験において特殊な飼料により胃粘膜の消化性潰瘍を起すことに成功し,この潰瘍に植物性の"抗潰瘍性因子"を添加して潰瘍形成阻止あるいは軽減することを認めた。その他,動物実験の結果を基礎にして1949年,潰瘍患者をキャベツ汁で治療し,この潰瘍抑制効果をもつ未知物質をAnti peptic ulcer dietary factorまたはVitamin Uと名づけた。Mc Rorieらはスルファミン剤の毒性を除く目的で各種の天然物の効果を検討中たまたまキャベツ汁に抗毒性のあることを発見し,その有効成分を追求した結果,それがMethyl-methionine-suifonium-saltであることを確認した。本化合物は,すでに1945年Toennis-Kolbが合成し2〜3の栄養学的効果が報告されていたが,この合成品をキャベツ汁から分離したものと,ペーパー・クロマトグラフその他の方法で比較した結果全く一致したので,いわゆるVitamin UはMethyl-methionine-sulfonium-saltと同一物質と認められた。Vitamin Uの本態はなほ不明の点もあるがMethyl-methionin-sulfonium-chloride(以下MMSC)が重要因子であると考えられている(興和文献)。
1949年来Cheneyは胃および十二指腸潰瘍にVitamin Uを使用し,在来の治療剤と比較し治癒期間が短縮されたといい,Strehlerは十二指腸潰瘍に,Labackも胃および十二指腸潰瘍に使用し好結果を挙げたことを報告している。本邦における大学その他の臨床機関においてもMMSC製剤で84.4%〜95.8%の高治癒率を挙げた報告がある。われわれのところでは今回,従来から消化器疾患と関連があるとみなされているアフター性口内炎を主として,興和新薬KK提供のMMSCを試用したので,ここに概略を報告する。
Kato and Takayasu report that methyl-methonium-sulfonium chloride is highly effective in treatment of aphthos. In 18 cases of this disease, 11 males and 7 females, the agentwas definitely effective in 11 cases (61%), relatively effective in 3 cases (17%) and none in 4 cases (22%). The authors believe the use of this agent not only hastens the process of recovery but also aids inprevention of further recurrences in some cases.
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