第10回綜合医学賞入選論文
唾液腺機能検査法とその臨床
奥田 稔
1
1千葉大学医学部耳鼻咽喉科教室
pp.913-925
発行日 1960年11月20日
Published Date 1960/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492202555
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I.まえがき
唾液腺に関する基礎的,臨床的研究は膨大な数に上るが,不思議にも唾液腺疾患時における唾液腺機能の検討は甚だ乏しく,それにもまして不可解なのは唾液腺の系統的臨床検査の記載が北村を除いては臨床検査を対象とするどの本にも見当らないことである。従来の唾液腺機能検査といえば唾液量の測定,二,三の唾液成分の分析にとどまつているほか,ヨード(Zak,Wermer,Altman,Schimansky,Thode,浅井),ロダンカリ(Mack,Jürgens,Alexander),燐(Galioto),アミノ酸(Sander),蛋白(Monnier),リゾチーム(Rauch),アミラーゼ(Seige,Glasscheib,Sjögren)を利用したものが散見するのみで,比較的精細なのは当教室の一連の研究(北村,奥田,中野,勝田,青木,金子)を除いてはRauchのそれがあるにすぎない。唾液腺の重要性への関心が亢まりつつある現在,尿の性状のみで腎機能を推定しようとするにひとしい唾液腺機能検査法の貧困は許されない。ここに唾液腺の臨床的検査法を確立し,唾液腺疾患の唾液腺機能への影響を知ろうとするものである。
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