特集 耳鼻咽喉科手術の危険度
咽頭
唾液腺造影法
河野 寿
1
1和歌山県立医科大学耳鼻咽喉科学教室
pp.793-794
発行日 1969年10月20日
Published Date 1969/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492207364
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唾液腺造影法(sialography)とは耳下腺および顎下腺の主管開口部より逆行性に造影剤を注入して腺のX線写真をうることである。
その嚆矢は1904年Charpyが屍体の耳下腺に,臨床的には1913年Arcelinが顎下腺に,1925年Carlstenが耳下腺に施行している。本邦では1928年脇田の報告がある。当初は水銀,蒼鉛浮遊液などが用いられて副作用も多かつた。その後造影剤の進歩によりほとんど無害で良いX線写真がえられるようになつた。現在用いられている40%モルヨドール(以下「モ」)の副作用は報告されていない。われわれも北村教授の確立された「モ」定量注入法(耳下腺で成人1.5,学童1.2〜0.8,幼児0.8〜0.5,顎下腺で成人1.2ccを規準)を数多く行なつてきた。急性炎症時には禁忌との報告もあるが,われわれは他と同様に行ない(疼痛は非炎症例より強い)診断的意義を認めている。故に本法は医学的常識をもつて行なえば日常臨床のルーチンテストとしてきわめて有用である。
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