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慢性中耳炎治療に於ける中耳治根手術の重要性は化学療法の進歩した今日といえども些も減退せず,却て手術法の進歩,抗生物質の適用等によりその成績は向上し,本手術の適用頻度は却て多くなつている状態である。中耳根治手術は骨都はツアウフアル氏法とスタツケ氏法及び之等類似法により行われて居るが,最初の皮膚切開は耳後法,経耳介法,経外耳道法等があり,従来大部分の人は耳後法に依つて居たのである。然し之に対し経外耳道法も1892年Hoffmannが発表して以来多数の人により報告されている。特に1938年Lempertがあらゆる中耳炎並にその合併症の手術に適応する耳内法を発表して以来,この方法に従う者が多くなり,吾国でも最近迷路開窓術が行われるようになつて以来中耳根治手術に於ても耳内法を用いる人が多くなつて来ているようである。然しこの方法に対しBeyerは,広く耳後部を開放して根治手術を行つた場合でも之が決して抜術上容易な手術だとは云うを得い。況や狭い外耳道内部から之を行うに至つては啻にそれが困難であるのみならず,手術の完全を期する事は到底不可能であり,又手術時の副損傷に対する危険も大である。特に之は初学者の行うべき手術ではないと述べている。之に対し経外耳道法推奨者は,1)特定の技術を以てすれば決して困難な手術でなく比較的広い自由な手術野で耳後法の様に手術する事も可能である事,2)耳後部からする手術に比して手術自体が患者を消耗せしめる事が少い,3)後療法が短期間ですむ,4)手術後聴力がよく保存されるのみならず却てよくなる事さえ屡々ある,等に就て強調している。
以上の如き論争があり各々一長一短があるが,結局症例を選択する事により各々の長所が発揮されるものと考えられ,特に炎症が上鼓室より乳様洞附近に限局している場合は耳後法より経外耳道法の方が切開創が少さい事手術中心部に最短距離を進める事,術後経過を短縮し得る事,中耳腔手術操作が行い易い事,等に於て優れている。然し乍ら経外耳道法,特に完全に皮膚切開を骨部外耳道にのみ留める方法では,外耳道入口部は一程度以上広げる事は出来ないので,やはり術野が狭少で手術が困難である寧は勿論であり,特に現在吾国の多くの入が行つている如き鑿と槌に依る方法では手が視野をさまたげる為殆ど不可能であり,電気バーの使用に依てのみ可能であるが,之でも尚日本人は耳孔が少さいので甚だ困難である。従つて一部の人は外耳道切開創を更に耳珠間溝迄延長し,之に自動鈎を使用する事に依り視野の拡大を図つている。
Akaike states teat among the various app-raches that may be used for radical mastoi-dectomy such as posterior auricular, endaural and transaural, the last named appear to be the method of choice Particularly as this method affords opdortunity in many ways success in making primary skin grafts with the availablity of numerous varieties of auti-biotics which make such an operation un-eventful.
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