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耳だれ不動尊
小生
pp.356
発行日 1954年7月20日
Published Date 1954/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492201166
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近江国栗太郡大石村に耳だれ不動と称するものがある。耳病の者が参拜すれば忽ち治癒するという。今は寺が廃して数丈の巨石に四佛を彫刻したものが存するのみである。栗太郡志を見ると,「本尊の耳孔より一種の鑛水流出して淡紅色をなす,是れ耳垂れ不動の称ある所なれども,不動尊の像には耳垂の痕跡なく,本尊のみなれば寧ろ耳垂阿弥陀と称すべきものなり。」
とある。寃は即ち寃であるとは雖も,之れをもつて詣者が絶えないとすれば,本尊の功を傍から奪つたものではあるまいか。
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