特集 扁桃摘出の病理と手術
私はこう考える
林 義雄
1
1慶應大學
pp.801-802
発行日 1953年11月30日
Published Date 1953/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492201027
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昭和7, 8年頃かと思うが,長崎での學會の帰途福岡,岡山と各教室を見學して廻つた。久保(猪)教授の扁剔も見せてもらつたが,コカインの局所麻醉の慎重さに驚いたものである。久保教授は例の鎌状の刀で,上極を3回に分けて切斷され,而も最初の一刀を重視された。確かにこれは大切なことだ。岡山では田中教授の口蓋破裂を希望したので扁剔は助手の方のを見たゞけであるが,開口器をかけて曲つた鋏で前後口蓋弓を切斷していた。
私の習つた時代のO教授の方法は剔出と言うよりは切除を極限まで擴大したものである。先ず鉗子で掴み前後口蓋弓を押し下げるようにしてシユリンゲをかけるのである。この頃は後出血のために當直醫は悩まされたものである。
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