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高い鼻の利害
K
pp.390
発行日 1953年8月20日
Published Date 1953/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492200949
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鼻の高いのは美しいには相違ないが,さりとて西洋人のように餘り高いのは,美しいとは思われない。鼻の美しいかどうかは,その高い低いではなくて,むしろ形状にあるとされている。しからば,鼻の高いのは,他に何の役に立つかというと,物に當る時も,ころんだ時も,鼻を撲つうれいがある。また臭氣も澤山に吸いこむかも知れない。
これは香氣を吸いこむことでは,低い鼻と同じである。また人につまゝれる心配がある。唯々眼鏡をかける時に大部よろしいが,低い鼻だと云つて眼鏡が掛らないことはない。しからば高い鼻だといつても利益はないようである。高鼻も利益がなければこそ,現在にあつては天狗の鼻といつても意味はないわけである。
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