特集 難聽研究の進歩
オーヂオメーターとその使用法
大和田 健次郞
1
1慶応義塾大学医学部耳鼻咽喉科
pp.588-596
発行日 1952年12月20日
Published Date 1952/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492200806
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聽力の検査法 聽力に限らず一般に感覚に関するものは,いづれも主観的のもので,これを純然たる他覚的方法で検査することは出来ないのではないかと思う。勿論或条件を与えてそれに対するレスポンスを見ることなら出来るが,これが直接感覚になるわけではない。最近種々の方法が考えられ新しい測定法が出来てきた。例えば脳電流を測定して,聽覚刺戟を加えたとき,これに対して反応電流が現れたとしても,それがきこえたことにはならない。やはり被検者がきこえたと感じなければだめである。このために被検者の種々の条件が入つてきて結果は非常に不正確になるように思われるが,これは致し方ないことである。これ等を含めたものが正しい結果であると思う。昔から現在に到る迄検査器具や方法には格段の進歩が見られたが,検査に当つて,被倹者の意志に従つて結果を出すことは少しも変つていない。これは当然のことかもしれない。
このように測るものの変倚が大きいのであるから,測定する器具は条件の一定なものが要求されるわけである。
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