鼻咽腔に發生した内皮型細網肉腫の1例

　緒言

　そもそも．Aschoff．清野が，生体染色の結果から，細網内皮系統を特殊な細胞群として独立させて以来，本系統は，医学の興味の中心となつて来た．しかし現在尚，細網細胞の発生，性格等に不明な点が存し，ひいては本細胞から発生する細網肉腫も，その定義，分類，形態等の最も複雑な腫瘍とされている．近来，細胞肉腫に関しては，その報告や，種々な検索が数を増して来て居り，私もさきに，殆ど全身の淋巴腺をおかした細網肉腫の1例を報告したが，今回更に，従来稀とされている内皮型細胞肉腫と診断し得る腫瘍が鼻咽腔壁に発生し，その1部がポリープ状に増殖して，何等かの機会に喉頭口を閉塞して窒息死を来し，為めに比較的初期の状態を把握し得た1例を経験し，種々興味ある所見に接したので，御報告する次第である．

NIHO AND MITSUI report a case of reticular endothelial sarcoma in a boy aged 14 that, origina-ting from nasopharynx to resemble feathures of nasal polyps, invaded the larynx causing abrupt death of the patient before symptoms of malignancy were definitely manifisted. Diagnosis of the disease was ascertained in the necroysy.