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篩骨洞の手術解剖學的研究(概要)—第2編 上顎洞經由法に關する手術解剖學
窪田 一胤
1
1慶應義塾大學醫學部耳鼻咽喉科教室
pp.188-198
発行日 1948年11月1日
Published Date 1948/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492200091
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緒言
上顎洞經由法による篩骨洞及び楔状洞手術の際に、我々が往々混亂や誤謬に陷る最大原因は、内部構造や位置的關係に對する認識不足であるが、その他に尚一つ根本的な原因がある。
我々は解剖學的形態や位置的關係を考へるには立位に於けるそれを念頭に描く。臥位に於ては單に90°前後の位置の變換を考へれば事足りるのであるが、一旦複雜な内部構造に立入ると立位の構圖を臥位のそれに轉換する事が案外困難になる、と云ふよりは、多くの場合此の轉換を忘れて臥位の場合に對して立位の構圖を描いて臨む事は、多くの人の經驗する處であろう。その結果は一局所の知識の不足や誤謬と異り術野全般に亘る錯誤を招く事になる。而して上顎洞經由手術に於ては、此種の錯誤は豫想外に甚しい。
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