論説
日本人の總頸動脈深程豫測法に關する研究
六嶋 禎一
1
1恩賜財團濟生會兵庫縣病院耳鼻咽喉科
pp.178-183
発行日 1948年8月1日
Published Date 1948/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492200089
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
緒言
近來諸種の藥劑を總頸動脈内に注入する方法が臨床上盛んに實施される樣になり、最近では靜脈注射法と殆んど同列に一般手技化して來た觀がある。然しこの頸動脈注射法は靜脈注射の樣にその所在を皮膚上から透見し乍ら針を刺入するのではなく、大體の解剖的關係位置と皮膚面又は觸診指へ傳はる搏動を順頼りに針を刺入するのであるから、確實な注射法であるとは云ひ難い。又同じ動脈注射法でも深程の比較的淺い頸動脈や上膊動脈等に比較すると確かに難かしい方法である。從來多くの人々からこの注射法は容易な手技であると報告されて居るが、私はそうと許り斷言できない例が相當にあるのを經驗して來た。それで私はこの手技を少しでも容易に又確實な方法にするための補助手段として、總頸動脈の深程を豫測する事が必要であり、又効果的であると考へて、總頸動脈深程豫測方程式の誘導を試みた。
Copyright © 1948, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.