論説
鼻中隔上部彎曲症の臨床的意義
高橋 良
1
1東京慈惠會醫科大學耳鼻科教室
pp.111-122
発行日 1947年12月1日
Published Date 1947/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492200026
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I 序言
鼻中隔畸形には突起と彎曲とがある譯であるが突起は原則として鼻中隔の下半部に存するに反し彎曲は鼻中隔の鋤骨部を除いた何處にも成立し得るものである事は論を俟たないが然しこの彎曲の中從來の成書文献に於ける見解を見ると鼻中隔下半部のものが對照になつてる事が大部分で上部に於ける彎曲が注意せらるる事は眞に少い。然し私は上部彎曲が患者に與へる苦痛と云ふ點より考へても又鼻固有疾患を大局的に處置すると云ふ點より見ても重大な意義を持つものである事を常に痛感してゐるので本論文を草した次第である。
本論文を草するに當つての臨床材料は最近數年間に觀察した鼻中隔彎曲症の中,上部彎曲が明に認められ之が爲め種々の症状を有するもの90餘例を基としたが全て自ら詳しく觀察し且自ら手術したもののみを選んだ。
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