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特集 泌尿器腫瘍(その2)
綜説
腎腫瘍の鑑別診断
DIFFERENTIAL DIAGNOSIS OF RENAL TUMORS
黒田 恭一
1
Kyoichi KURODA
1
1金沢大学医学部泌尿器科
1Department of Urology, School of Medicine, Kanazawa University
pp.611-666
発行日 1966年6月25日
Published Date 1966/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491204399
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I.まえがき
腎実質腫瘍,なかんずく頻度の高いGrawitz腫瘍(腎癌),Wilms腫瘍などの悪性腫瘍の診断は,血尿,腫瘤形成,腎部疼痛のごとき特徴的臨床症状,および定型的腎盂X線像が備わつている場合には,比較的容易である。しかし腫瘍が小さくて臨床症状を欠く場合,腫瘍の発生部位により症状や所見が非定型的な場合,腎腫瘍に他の腎疾患,たとえば嚢胞性疾患や先天性奇形が合併する場合,腫瘍によつて惹起された二次的病変が顕著な場合などには,診断は困難となる。また腎実質腫瘍のみについてみても,Grawitz腫瘍やWilms腫瘍以外の悪性腫瘍,良性腫瘍など数多くの種類があり,臨床症状やX線所見による相互の鑑別はおおむね困難である。さらに腎実質腫瘍と鑑別を要する腎疾患,腎盂疾患,腎周囲疾患も少なくない。
ここでは比較的高頻度に見られる腎実質悪性腫瘍を中心として,鑑別診断上の問題点について記述する。
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