文献紹介
エリテマトーデスの光生物学/C14ハイドロコーチゾンの正常皮膚透過性
pp.155,193
発行日 1966年2月1日
Published Date 1966/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491204287
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著者等は29人のエリテマトーデスの患者(うち23人が慢性円板状,5人が急性,1人が亜急性エリテマトーデス)に対して,2800〜3200Åの紫外線による光線過敏性を検し,このうち亜急性エリテマトーデスの1人において紅斑閾値の低下を認めた。また,Epstein等が行なった同じような実験の結果及びその他の文献などをもとにして,エリテマトーデスにおける日光の及ぼす効果について論じ,エリテマトーデスの患者のうち,慢性播種状型,亜急性型及び急性型の中には日光によって増悪する可能性をもつものがあるとしている。また,これらの日光によって増悪する患者を知るには,同じ部位に対し紫外線をくり返し照射する方法をとるのがよいとしている。著者等はさらに太陽光が皮膚に変化を起こす作用機序について,次の5つの仮説,すなわち,(1)血管に対して光子が直接障碍を与える,(2)光子が表皮細胞に直接障碍を与え,その結果として拡散性のある血管拡張性物質が遊離される,(3) free radicalの生成による直接あるいは間接の障碍,(4)核のDNAに対する直接あるいは間接の障碍,(5) lysosomeの酵素による直接あるいは間接の障碍,などをあげ,このうち(4)と(5)がエリテマトーデスに対する光線の役割を説明するのには適切であろうと述べている。Baer,R.L.Harber L.C:Photobiology of Lupus Erythe matosus.Arch.Dermat.,92;124 965.
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