Japanese
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皮膚科領域におけるアンモニア代謝—病態時(特に火傷および副腎剔出)の変動
METABOLISM OF AMMONIA IN DERMATOROGICAL REALM:ESPECIALLY ALTERATION AFTER BURN OR ADRENALECTOMY
武田 克之
1
Katsuyuki TAKEDA
1
1徳島大学医学部皮膚科学教室
1Department of Dermatology, Tokushima University, School of Medicine
pp.129-136
発行日 1966年2月1日
Published Date 1966/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491204283
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I.緒 言
従来生体のアンモニア産生を考える場合,蛋白質およびアミノ酸が最も重要視されている。これらの物質が分解すると,脱アミノ反応によつてアンモニアが生ずる。従つてアミノ酸の異常な分解亢進,例えば腸内細菌による分解の促進があると生体アンモニア量の上昇が見られる。産生されたアンモニアは毒性が強いので,これを比較的毒性の少ない尿素に変えて排泄する。この反応は主として肝臓において行われ,Krebsのornithine cycleとして知られている。何らかの原因でor—nithine cycleが低下した場合も生体アンモニア上昇が考えられる。
重症肝障害や肝硬変症では肝細胞壊死による酵素の流出あるいは酵素蛋白の生成の低下などからornithine cycleの代謝回転もにぶり肝内尿素サイクルが低下してアンモニアが蓄積し,血中アンモニアレベルが上昇する25)。肝硬変患者に正常では耐えられる量のアンモニウム塩,尿素を投与すると,肝性昏睡が誘発され,その際,血中アンモニア濃度が著しく上昇する(van Caulaert)ことから,肝性昏睡時の血中アンモニア量が古くから注目されてきたが,脳神経症状の程度と血中アンモニア濃度,肝硬変患者の疾病の重篤度と血中アンモニアレベルは必ずしも平衡しないこともよく知られている。
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