Japanese
English
泌尿器科図譜・189
尿管瘤内結石症例
A CASE OF URETEROCELE WITH STONE
三浦 俊夫
1
,
河野 南雄
1
Toshio MIURA
1
,
Namio KONO
1
1東京電力病院皮膚泌尿科
1Department of Urology and Dermatology, Tokyo Electric Power Hospital
pp.8
発行日 1965年1月1日
Published Date 1965/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491203980
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- Abstract 文献概要
31歳家婦。主訴は数年来の難治の膀胱炎。レ線単純撮影で第1図の如き膀胱結石を認めるが,膀膀鏡では結石は認めず,その代りに右尿管口の部に乳頭腫様の外観を有する腫瘤を認める。この腫瘤はしばらく観察して居つてもその容積を変化する模様は無い。青排泄は左は初発2分55秒濃青3分55秒,右は4分50秒で腫瘤のあたりが青くなり始めたが,6分に至るも濃青とはならない。高橋大越法による膀膀造影撮影で,第2図に示す如く,あたかもサットンの白斑を想起せしめるが如き特異の像を得た。試験切片の病理組織像は,第3図に示す如く,Atypieは殆んど見られなかつたが,しかしすこぶる顕著な乳頭腫状増殖が認められたので,膀膀高位切開で入り,竜気メスで腫瘤を切除した。腫瘤中に含有された結石は,第4図に示す如く,大きさ16×15×12mmで断面は層を成し,化学的の成分は燐酸カルシウムが主で,更に少量の炭酸,蓚酸も証明された。術後の回復は順調で,19日目には青排泄もほぼ正常となり,術後6ヵ月で切除部位の膀膀粘膜も殆んど正常に近くなり,術後満3年を経た現在も異常を認めない。本症例は考察と共に昭和38年10月千葉大学で開催された日本泌尿器科学会東部連合地方会に報告した。
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