Japanese
English
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土肥氏鱗状毛嚢角化症の6例
SIX CASES OF KERATOSIS FOLLICULARIS SQUAMOSA DOHI
小原 利之
1
Toshiyuki OBARA
1
1弘前大学医学部皮膚科教室
1Department of Dermatology, School of Medicine, Hirosaki University
pp.767-770
発行日 1964年8月1日
Published Date 1964/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491203848
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I.緒 言
本症は1903年土肥・百瀬1)により記載された疾患で,毛孔一致性の小黒点を中心とした円葉状の鱗屑を生じ,底面固着辺縁は僅かに遊離しているので,「恰も荷葉の水面に浮ぶに似たり」2)と形容された特異の所見を呈し,現在まで約60年間に百数十例が報告されている。しかし本邦人を除いては,柳原3)が昭和6年に中国人の28歳男子,森山4)が同年に朝鮮人の20歳男子に本疾患を確認して以来,安井5)(昭13)が中国人の25歳男子を,蛇島6)(昭15)が朝鮮人の24歳男子,川崎7)(昭18)が中国人の20歳男子を報告しているが,欧米人及び黒人例は全く見られず,昭和36年M. B. Sulzberger8)は「私ははじめてこれをみた。これを見ただけで日本に来た意味があつた」と述べており,本邦人に特有の疾患と考えられている9)。
本症の統計的観察は既に長谷川10),鈴木11),早川12)によつて試みられているが,その本態は未だ不明の点が多い。私は過去4年間に当教室を訪れた本症の6例について報告すると共に,2,3の考察を加えてみたいと思う。
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